仙台の地盤の調べ方|土地を買う前にどこまで分かるか・地盤改良費の考え方

「土地って、買う前に地盤を調べられるんですか?」——仙台で土地から探す方によく聞かれます。答えは、公開資料でかなりのところまで絞り込める、ただし実際に掘って調べるのは土地を取得したあとになるのが一般的、というものです。

仙台の場合、市街地より東の低地と西の丘陵地では、警戒するものが違います。東日本大震災で「危険」「要注意」と判定された宅地は5,728件(平成25年7月31日現在・仙台市公表)にのぼりますが、その中心は沿岸部だけではありませんでした。この記事では、仙台市が無料公開している3つの資料の使い分けと、買う前にできること・できないことを整理します。

この記事でわかること

  • 仙台の地盤リスクが、東の低地と西の丘陵地で別物であること
  • 仙台市の3つの資料でどこまで分かるか
  • 土地の契約前に地盤調査ができるのかどうか
  • 地盤改良費の考え方(金額を左右するのは面積ではありません)
  • 買う前・買ったあと、それぞれの段階ですること

仙台の地盤は東と西で別の話になる

東日本大震災の復旧として、仙台市では造成宅地滑動崩落緊急対策事業160地区、災害関連地域防災がけ崩れ対策事業9地区、防災集団移転促進事業2地区が実施されています。

仙台市の資料によると、宅地被害は「仙台駅からおおむね5km圏内で、昭和30年代から昭和40年代にかけて造成された住宅地を中心に」発生し、面的な被害があった地区では「盛土内にすべり面が発生」したとされます。丘陵地の住宅団地です。

リスク 主に気にする場所 起こりうること
液状化市街地より東の低地・沿岸部地盤が一時的に液体のようにふるまい、建物が沈む・傾く
造成地の地盤変動市街地より西の丘陵地の住宅団地造成された地盤がずれ動き、擁壁や建物が損傷する
  • 東の低地なら液状化。液状化危険度マップを見ます
  • 西の丘陵地なら造成の履歴。宅地造成履歴等情報マップを見ます

大まかに言えば、市街地より東側の若林区・宮城野区の低地部と、西側の青葉区・太白区の丘陵部とでは、確認すべき資料が変わります。ただし同じ区の中でも条件はかなり違います。たとえば同じ青葉区でも、丘陵の造成団地と広瀬川沿いの低地とでは見る資料が変わります。区の単位で判断せず、検討中の住所で確かめてください。

仙台市が公開している3つの資料

いずれも無料で、住所が分かればその場で確認できます。土地の場所によって見るべきものが変わります。

資料 分かること 主に見る人
液状化危険度マップ想定地震での液状化の起きやすさ東部の低地・沿岸部を検討中の方
宅地造成履歴等情報マップ切土か盛土か、いつ造成されたか丘陵地の住宅団地を検討中の方
震度マップ想定地震での揺れやすさ全員

1. 液状化危険度マップ

仙台市の液状化危険度マップは、令和5年11月公表の「宮城県第五次地震被害想定調査報告書」に基づいて作られ、2025年6月に更新されています。250mメッシュ単位で、想定する地震を4つのケースに分けて作成され、区ごとのPDFと市全域版が公開されています。

対象になっているのは液状化で、がけ崩れなどによる建物被害は含まれていません。丘陵地の造成宅地のリスクは、このマップでは分かりません。

2. 宅地造成履歴等情報マップ

仙台市宅地造成履歴等情報マップは、「自宅の敷地が切土なのか盛土なのか知りたい」という問い合わせが震災後に増えたことを受けて作られ、平成25年に公開されました。切土・盛土図、造成年代図、旧地形図の3種類があります。

使い方については、仙台市が注意書きを出しています。

切土だから「安全」、盛土だから「危険」というものではありません。(仙台市 宅地造成履歴等情報マップ)

安全性は周辺の地形・構造物・土質・地下水の有無など多くの要因で決まるとされます。またこのマップは旧地形図と現在の地形図の標高差から作られたもので、ボーリング調査などの現地調査は行われていません。あくまで「その土地がどう造られたか」の履歴です。

盛土と分かったら候補から外す、という使い方ではなく、住宅会社に何を確認するかの材料として使うのが現実的です。

宮城県の「大規模盛土造成地マップ」との違い

盛土を調べる資料として宮城県の「大規模盛土造成地マップ」もありますが、こちらは仙台市を除く県内市町村が対象です。仙台市内の土地を同マップで探しても見つかりません。仙台市内はこの宅地造成履歴等情報マップを見てください。

3. 震度マップ

震度マップは、想定される地震でその場所がどれくらい揺れやすいかを示すものです。液状化危険度マップと同じ調査に基づいており、こちらも4ケース×区ごとに公開されています。

土地を買う前に地盤調査はできるのか

売主の承諾があれば可能ですが、承諾が得られるかは売主の判断によります。法律で禁止されているわけではありませんが、断られることも珍しくないため、仲介会社を通じて早い段階で可否を確認しておくのが現実的です。承諾が得られにくい理由は主に3つあります。

  1. 契約前の土地は売主のものなので、機材を入れて掘るには承諾が要る
  2. 売主にとっては、結果次第で条件交渉につながる可能性があるため、慎重になりやすい
  3. 建物の配置が決まらないと、調査する位置を決められない

制度の側もそうなっています。住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準は、地盤調査を「基礎の設計に先立ち」行うものとし、スクリューウエイト貫入試験(SWS試験)の場合は建物の四隅付近を含む4点以上で行うことを原則としています。建物のプランが固まったあと、着工前に行う工程として組み立てられています。

なお、国土交通大臣指定の住宅紛争処理支援センター(住まいるダイヤル)は、相談事例への回答で「契約前に地盤調査をして工事見積額が提示されるべき」という趣旨を述べています。制度上の望ましい姿と、実際の取引の流れが一致していない場面もあります。

買う前にできること

掘れない以上、公開資料で候補を絞る作業になります。

  • 仙台市の3つの資料を、検討中の住所で確認する
  • 国土地理院の重ねるハザードマップで、旧河道や盛土地といった土地の成り立ちを見る
  • 現地で、周囲より低くないか、擁壁にひび割れや傾きがないかを見る
  • 売主が過去の地盤調査報告書を持っていないか、仲介会社に聞いてみる

これらは「気になる土地を候補から外す」ための材料です。公開資料はいずれも推定を含むため、安全であることの裏づけにはなりません。

地盤改良費に「相場」と呼べるものはない

先に金額の話をすると、2026年8月時点で住宅会社・地盤改良会社が自社サイトで公表している目安を複数確認したところ、柱状改良で30万円台から150万円まで開きがありました。いずれも各社が示す目安であって、公的な統計ではありません。幅が広いのは各社の言うことがバラバラだからではなく、費用の決まり方がそもそも面積で決まらないからです。

柱状改良や鋼管杭は、1mあたりの単価に深さと本数を掛けて積算されます。同じ30坪でも、しっかりした地層(支持層)が地下2mにあるか8mにあるかで費用は数倍変わります。面積に比例するのは表層改良くらいです。「30坪ならいくら」という言い方は、いちばん効く要因である深さを面積に置き換えてしまっています。

金額を明示せず「調査結果次第」とだけ記載している会社も多いのは、地盤改良費が調査前には確定できない性質の費用だからです。国や業界団体が公表した戸建て住宅の地盤改良費の統計も、調べた限り見当たりませんでした。

加えて建設工事費は上昇しています。国土交通省の建設工事費デフレーターは2021年以降で約3割上がっており、柱状改良の主材料であるセメント系固化材や鋼管杭の鋼材は影響を受けやすい部類です。数年前の記事の金額は、現在の見積もりより低く出ている可能性があります。

改良が必要かどうかの判断には、調査データの読み取りと、どこまで安全側をとるかの考え方が含まれます。見積もりを見るときは、金額よりも先に「支持層が何mだったか」「どの工法を選び、何本入れるか」「なぜその判断にしたか」を説明してもらってください。ここが分かると、各社の金額差が何によるものか読めるようになります。

なお地盤調査の費用は、本体価格に含まれている場合と、別途見積もりになる場合があります。どちらの扱いかを最初に確認しておくと、複数社の見積もりを同じ土俵で比べられます。

地盤改良費の考え方は会社によって差が出やすいところです。宮城・仙台新築リフォームフェア(2027年1月16日・17日/夢メッセみやぎ/入場無料)では多数の企業に同じ条件で聞けるので、金額の幅と根拠をつかむのに向いています。開催前に情報だけ集めたい方は、出展企業一覧から各社の対応領域を確認できます。

仙台で知っておきたい制度

不動産の重要事項説明には、その土地の地盤が軟弱かどうかを説明する義務はありません。義務があるのは、指定された区域に該当するかどうかと、ハザードマップ上の位置です。

  • 水害ハザードマップ上の物件の位置は、2020年8月28日から説明が義務化されています。浸水想定区域の外にある場合でも位置を示すことになっています
  • 造成宅地防災区域は、2026年8月時点で仙台市・宮城県ともに指定がありません。指定がないことが安全を意味するわけではない点に注意してください
  • 盛土規制法により、仙台市は2025年5月23日付けで市内全域が規制区域に指定されました。以降に着手する工事は許可または届出が必要です
  • 震災後に滑動崩落防止施設が設置された宅地では、施設の付近で掘削や建築を行う際に届出が必要な場合があります。中古住宅の建て替えや外構工事で関わってきます

地盤の説明義務がないということは、買主から聞かなければ情報が出てこないということでもあります。

進め方の順番

段階 やること
候補地が出たら仙台市の3つの資料と重ねるハザードマップを、住所で確認する
現地を見るとき周囲より低くないか、擁壁の状態はどうかを見る。過去の調査資料がないか仲介会社に聞く
契約の前改良費が発生した場合の扱いを住宅会社と確認し、総予算に改良費の枠を確保しておく
プランが固まったら地盤調査を実施。結果を見て工法と費用が決まる
見積もりが出たら工法・深さ・本数の根拠を説明してもらい、総額で資金計画を組み直す

土地探しから引き渡しまでの流れは仙台で注文住宅を建てるときの流れ、地盤以外の失敗しやすい点は注文住宅で後悔しやすいポイント10選にまとめています。費用の全体像は仙台の注文住宅 費用相場・坪単価をご覧ください。

よくある質問

液状化危険度が高い地域では家を建てられないのですか?

そうとは限りません。マップは一帯の傾向を示すもので、個別の土地の可否を判定するものではありません。地盤調査の結果に応じた対策を行えば建てられるケースが多いとされます。ただし費用が上乗せになるため、総予算で判断してください。

盛土の土地は避けたほうがいいですか?

仙台市は「切土だから安全、盛土だから危険というものではない」と明記しています。造成年代や施工方法、その後の対策工事の有無で状況は変わります。履歴を把握したうえで住宅会社に確認する材料として使うのが現実的です。

液状化危険度マップを見れば、丘陵地のリスクも分かりますか?

分かりません。同マップはがけ崩れなどによる建物被害を対象にしていません。丘陵地の土地は宅地造成履歴等情報マップを確認してください。

土地の契約前に地盤調査をお願いできますか?

売主の承諾が必要で、承諾が得られるかは売主の判断によります。契約前の土地は売主のものであること、結果次第で条件交渉につながる可能性があること、建物の配置が決まらないと調査位置を決められないことが理由です。仲介会社を通じて早い段階で可否を確認しておくとよいでしょう。

地盤調査が無料の会社は、その分お得ということですか?

無料と表示されている場合、調査費が本体価格に含まれているケースが一般的です。改良工事費は別であることが多いので、「調査費はどの扱いか」「改良費はどこに載るか」の2点を確認しておくと、見積もりを比べやすくなります。なお地盤保証も別のもので、引き渡し後の不同沈下などに備えるものであり、着工前の改良工事費を肩代わりするものではありません。

スウェーデン式サウンディング試験とSWS試験は違うものですか?

同じものです。2020年10月のJIS改正で「スクリューウエイト貫入試験」に名称が変わりました。略称のSWSは変わっていません。古い資料では旧名称のままのことがあります。

同じ条件で複数社に聞いてみませんか

地盤の話は、会社によって説明の丁寧さや前提の置き方に差が出やすいところです。同じ土地の条件を伝えて複数社の答えを並べると、判断しやすくなります。

宮城・仙台新築リフォームフェアは、地元工務店から大手ハウスメーカー、リフォーム会社まで約100社が集まる住宅イベントです。前回(2026年1月)は2日間で8,110人が来場しました。1日で複数社に同じ質問ができます。ぜひこの機会を上手に活用してみてください。

  • 次回開催:2027年1月16日(土)・17日(日)
  • 会場:夢メッセみやぎ(仙台市宮城野区)
  • 入場料:無料

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※本記事の情報は2026年8月時点のものです(最終確認: 2026年8月)。ハザードマップの内容、工事費用、法制度等は変更される場合があります。最新の情報は仙台市の公式サイト、各住宅会社、金融機関へ直接ご確認ください。本記事は特定の事業者を推奨するものではありません。
※地盤・地盤改良に関する技術的な記述は、仙台市および国土交通省の公表資料、住宅瑕疵担保責任保険の設計施工基準に基づいて整理したものです。個別の土地の判断は、必ず地盤調査の結果に基づいて専門家にご確認ください。

監修・執筆:山澤 敦(宮城・仙台新築リフォームフェア 実行委員長)