仙台・宮城の耐震等級|1・2・3の違いと「等級3相当」の意味
「耐震等級はどうしますか」と住宅会社に聞かれて、何を基準に答えればよいのか分からなかった——家づくりの相談でよく出てくる場面です。耐震等級は1〜3の3段階で、等級1が建築基準法で求められる最低基準にあたります。上の等級にするかどうかは、費用と間取りの制約を含めた選択になります。
宮城県は東日本大震災を経験した地域で、耐震への関心が高い土地柄です。この記事では、等級1・2・3が何を基準に分かれているのか、「等級3相当」という言い方が何を指すのか、そして等級を決める前に住宅会社へ確認しておきたいことを整理します。主催者の立場として特定の等級をおすすめすることはしません。判断の材料になる事実を並べます。
この記事でわかること
- 耐震等級1・2・3が、それぞれ何を基準にした段階なのか
- 「倒壊等防止」と「損傷防止」という2つの系統があること
- 「耐震等級3」と「耐震等級3相当」の違いと、割引を受けるために必要になる書類の考え方
- 2025年4月の建築基準法改正で、木造2階建ての手続きがどう変わったか
- 等級を上げる費用が何で決まるのか(評価書の手数料の目安を含む)
- 等級を決める前に住宅会社へ確認しておきたいこと
耐震等級は3段階。等級1が建築基準法の最低基準
耐震等級は、住宅の品質確保の促進等に関する法律(品確法)にもとづく住宅性能表示制度の表示項目のひとつです。段階の分かれ方は、品確法にもとづく日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号)の別表1で定められています。
| 等級 | 倒壊等防止 (極めて稀に発生する地震力) |
損傷防止 (稀に発生する地震力) |
|---|---|---|
| 等級1 | 建築基準法施行令第88条第3項の地震力に対して倒壊・崩壊等しない | 同令第88条第2項の地震力に対して著しい損傷を生じない |
| 等級2 | 等級1が想定する地震力の1.25倍 | 等級1が想定する地震力の1.25倍 |
| 等級3 | 等級1が想定する地震力の1.5倍 | 等級1が想定する地震力の1.5倍 |
- 等級が上がると建物の強さがそのまま1.25倍・1.5倍になるのではなく、想定する地震力を1.25倍・1.5倍にしても倒壊しない設計、という意味です
- 「学校と同等」「消防署と同等」は告示に書かれた定義ではなく、官庁施設の耐震基準で使われている数値と一致することからくる、説明のための例えです
- 等級1は建築基準法が求める最低基準にあたる水準です。これは告示上の位置づけで、最低基準だから危険な家、という意味ではありません
「数百年に一度の地震でも倒壊しない」という説明を等級3の説明として見かけることがありますが、これは等級1の定義です。また「震度6強〜7」という表現は東京を想定した場合の目安として使われているもので、告示は震度ではなく地震力で定めています。同じ地震でも、揺れの強さは地域や地盤によって変わります。
「倒壊しない」と「壊れない」は別の等級
耐震等級には系統が2つあり、基準にしている地震の大きさが違います。一般に「耐震等級3」と言うときは、倒壊等防止のほうを指します。地震保険の割引も長期優良住宅の認定も、こちらが基準です。
- 倒壊等防止…極めて稀に(数百年に一度程度)発生する地震力が基準。構造躯体が倒壊・崩壊しないこと
- 損傷防止…稀に(数十年に一度程度)発生する地震力が基準。大規模な修復工事を要する著しい損傷を生じないこと
- 倒壊を免れることと、無傷であることは別です。住み続けるために修復が必要になる場合があります
「耐震等級3」と「耐震等級3相当」は何が違うのか
住宅性能表示制度は任意の制度です。登録住宅性能評価機関の評価を受けて、はじめて住宅性能評価書が交付されます。評価書は2種類あり、設計図書の段階の評価をまとめた設計住宅性能評価書と、施工段階と完成段階の検査を経た建設住宅性能評価書に分かれます。
「等級3相当」は、自社の計算では等級3の水準を満たしているものの、評価機関の評価書は取っていない、という意味で使われることが多い言い方です。設計の中身が同じでも、書類の有無で使える制度が変わります。
「相当」という言い方そのものが、性能が低いことを意味するわけではありません。評価書の取得には申請手数料と検査の工程が加わるため、そのぶんを建物側に配分する考え方で取得しない会社もあります。一方で、評価書を取らない前提のまま工事が進むと、あとから書類だけを用意することは難しくなります。どちらが正しいということではなく、いまどちらの前提で話が進んでいるかを契約の前に確かめておくと、あとで迷わずに済みます。
| 耐震性能に関する地震保険の割引 | 割引率 |
|---|---|
| 耐震等級割引(耐震等級3) | 50% |
| 耐震等級割引(耐震等級2) | 30% |
| 耐震等級割引(耐震等級1) | 10% |
| 免震建築物割引 | 50% |
- 割引を受けるには、耐震等級を確認できる所定の書類(写)の提出が必要です。住宅性能評価書のほか、長期優良住宅の認定通知書やフラット35の適合証明書などが確認資料として扱われる場合があります
- これらの割引は重ねて使うことはできず、いずれか一つが適用されます。このほかに建築年割引・耐震診断割引があります(割引率は損害保険料率算出機構の公表による)
- 契約時に提出すれば保険期間の始まりから、契約後に提出した場合は提出した日以降の期間について適用されます。どの書類で割引が使えるかは保険会社によって異なります
「耐震等級3は必要か」を、どう考えるか
宮城・仙台新築リフォームフェアの出展企業と話をしていると、耐震についての考え方は一様ではありません。耐震等級を中心に説明する会社もあれば、制震技術に力を入れている会社もあります。次回で23回目を迎え、毎年100社以上に出展いただくなかで見てきた経験からも、同じ「耐震」という言葉だけで比較するより、様々な会社に話を聞いて、ご自身が納得できる会社を探していただくことをおすすめしています。
家づくりの相談でよく出てくる問いですが、主催者として特定の等級をおすすめすることはしていません。判断が分かれるのは、次の3つがどう重なるかです。
- その会社が標準にしている等級。等級2を標準にしている会社も、等級3を標準にしている会社もあり、標準から動かすかどうかで費用の出方が変わります
- 上げた場合に増える費用と、間取りへの影響(大きな開口部・吹抜け・1階と2階の形のずれ)
- 地震保険の割引や長期優良住宅など、使う予定のある制度と、そこで必要になる書類
その会社が標準にしている等級と、上げた場合に増える費用・間取りへの影響をセットで聞くと、会社ごとの比較ができるようになります。等級1は建築基準法が求める最低基準を満たす水準で、それ自体が違法・危険という意味ではありません。上の等級にするかどうかは、この3つを自分の条件に当てはめた結果として決まります。
出展企業一覧には、前回(2026年1月開催)に出展した会社を掲載しています。どんな顔ぶれが集まる場なのかを先に見ておくと、当日の回り方を決めやすくなります。
宮城で建てるときに押さえておきたい地震のリスク
宮城県沖では、陸寄りで繰り返し発生するひとまわり小さいプレート間地震(いわゆる宮城県沖地震)について、30年以内の発生確率が「80%〜90%程度以上」と評価されています(2026年1月14日公表の評価)。仙台市が宮城県沖地震等の発生確率のページで、政府の地震調査研究推進本部の評価を公表しています。
- 発生確率は基準日を更新するたびに変わります。最新の値は仙台市や地震調査研究推進本部の公表でご確認ください
- 同じ規模の地震でも、建物に伝わる揺れは地盤や造成の履歴で変わります。確率の数字だけで設計を決めることはできません
- 仙台市は液状化危険度マップと宅地造成履歴等情報マップを公開しています。土地の候補が決まったら、契約の前にその場所を見ておくと、耐震の相談も具体的になります
- 土地側の調べ方は仙台の地盤の調べ方で扱っています
すでに建っている家は、等級ではなく耐震診断で見る
耐震等級は、これから建てる住宅の性能を表示するしくみです。すでに建っている住宅の耐震性は、等級ではなく耐震診断で確かめます。建てられた時期によって、設計の前提が変わります。
- 1981年(昭和56年)6月1日から施行された基準が新耐震基準と呼ばれています。それ以前に建築確認を受けた住宅は、いまとは別の考え方で設計されています
- 新耐震基準のあとでも、接合部の仕様や4分割法による耐力壁の配置といった規定が明確になったのは2000年6月1日からです。国土交通省は、2000年6月より前の在来軸組構法の木造住宅についても、熊本地震で倒壊等の被害が見られたとしています
- 仙台市は、2000年(平成12年)5月31日以前に建てられた戸建木造住宅を対象に耐震診断士を派遣する支援と、耐震改修工事への補助を行っています。2026年度の申込受付期限は12月15日とされています(2026年9月時点。費用と条件は市の案内でご確認ください)
診断の結果は、新築の耐震等級とは別の物差しで示されます。断熱改修や間取りの変更を考えているなら、耐震の検討を同じタイミングに載せると、足場や内装の復旧が一度で済みます。会場には新築の会社だけでなくリフォーム会社も出展しています。
2025年4月の法改正で変わったのは、最低基準の確かめ方
2025年4月1日に施行された改正建築基準法で、建築確認の審査省略制度(いわゆる4号特例)の対象が「都市計画区域等の区域内の平屋かつ延べ面積200平方メートル以下の建築物」に縮小されました。木造2階建ての一戸建て住宅は、構造関係規定等の審査の対象になります。あわせて、省エネ化にともなう建物の重量増に対応するため、壁量基準や柱の小径の基準も見直されています。
- 変わったのは、建築基準法が求める最低基準(等級1にあたる水準)を建築確認で確かめる手続きです
- 従前の壁量基準を使える経過措置は2026年3月末までとされていました。これから設計に入る住宅は、見直し後の基準で確かめられることになります。すでに設計や申請が進んでいる場合は、どちらの基準によるかを住宅会社に確認してください
- 耐震等級2・3は、その最低基準に上乗せする任意の表示制度です。改正によって等級の定義が変わったわけではありません
- 2025年4月以降に着工する住宅は省エネ基準への適合も義務になりました。断熱側の数字は仙台の断熱等級はどこまで必要かで扱っています
等級を上げる費用は、何で決まるのか
金額の目安は各社が示しているものが中心で、確認した限り公的な費用統計は見当たりませんでした。示されている金額も出典によって大きく幅があり、統一された相場があるとは言えない状態です。費用を左右するのは、次のような要素です。
- 耐力壁の量と配置、接合金物、基礎や床の仕様
- 間取り。大きな開口部・吹抜け・1階と2階の形のずれが大きいほど、等級を上げるための調整は増える傾向があります
- 評価書を取る場合の申請手数料と、構造の検討にかかる設計費。建物の工事費とは別に発生する費用です。日本ERIや日本住宅保証検査機構(JIO)が公表している料金表(2026年9月時点で公開されているもの。ERIは2025年7月更新、JIOは2023年9月改訂)では、延べ面積200平方メートル未満の木造一戸建てで、必須項目のみの設計住宅性能評価と建設住宅性能評価をあわせて、税抜表示を税込に換算するとおおむね15万円台〜19万円程度になります(評価機関・選択項目・長期優良住宅の申請有無によって変わります)
「等級3にするといくらですか」ではなく「いま検討しているこのプランを等級3にすると、どこがどう変わって、いくら増えますか」と聞くと、会社ごとに比べられる答えが返ってきます。
等級だけでは分からないこと
- 繰り返しの揺れ…告示の基準は、想定する地震力に対する検証です。本震と余震で繰り返し揺れたあとにどれだけ余力が残るかは、等級では表されません
- 地盤…同じ設計でも、地盤や造成の履歴によって建物に伝わる揺れは変わります
- 制震・免震…揺れを吸収する、あるいは伝えにくくする工法で、耐震等級とは別の考え方です。併用することもあります。耐震等級の数字には表れない部分なので、採用している場合はその仕組みと採用理由も会社ごとに聞いてみると、比較の材料が増えます
- 家具の転倒や内装材の破損…構造躯体の等級とは別に対策が必要な部分です
等級は、建物の安全性を測るための一つの物差しです。数字で比べられるぶん分かりやすい一方、そこに入っていない要素もあることを前提に見ておくと、打ち合わせでの質問が具体的になります。注文住宅で後悔しやすいポイントも、あわせて確認しておくと抜けが減ります。
進め方の順番
| 段階 | やること |
|---|---|
| 土地を決める段階 | 地盤と造成の履歴を公的なマップで確認しておく |
| プランの相談 | 標準にしている等級と、上げた場合に変わる箇所を聞く |
| 見積もりを比べる | 等級の水準と、評価書を取る前提かどうかを揃えて比べる |
| 契約の前 | 評価書の申請時期と費用、地震保険の割引に使えるかを確認する |
| 着工後 | 建設住宅性能評価を受ける場合は、検査が入る時期を確認する |
この5つを1枚のメモにして持って行くと、複数社に同じ質問ができます。間取りの希望を1つだけ決めておいて(たとえばリビングに大きな窓がほしい、など)、その条件で等級を上げるとどこがどう変わるかを聞くと、会社ごとの考え方の差が出ます。
よくある質問
「耐震等級3相当」と説明されました。等級3とは違うのですか?
「相当」は、自社の計算では等級3の水準を満たしているものの、登録住宅性能評価機関の評価書は取っていない、という意味で使われることが多い表現です。地震保険の耐震等級割引には耐震等級を確認できる所定の書類が必要で、住宅性能評価書のほか、長期優良住宅の認定通知書やフラット35の適合証明書などが確認資料として扱われる場合があります。取扱いは保険会社によって異なるため、どの書類が出せるのかを住宅会社に、その書類で割引が使えるのかを保険会社に確認してください。
等級2と等級3では、何が違うのですか?
想定する地震力が、等級1の1.25倍か1.5倍かの違いです。設計では、耐力壁の量と配置・接合部・基礎の仕様などで差が出ます。間取りによっては、等級を上げるために窓の大きさや壁の位置を調整することもあります。
2025年4月の法改正で、家は自動的に強くなったのですか?
改正で変わったのは、建築確認で構造関係規定等の審査を省略できる範囲と、壁量などの基準です。木造2階建ての一戸建て住宅も審査の対象になりました。ただしこれは建築基準法が求める最低基準についての話で、耐震等級2・3という上乗せの表示制度とは別のものです。
耐震等級を上げると、地震保険は安くなりますか?
耐震等級割引があり、等級3で50%、等級2で30%、等級1で10%です。免震建築物割引は50%です。これらの割引は重ねて使うことはできず、いずれか一つが適用されます。適用には所定の確認資料(写)の提出が必要で、契約時に提出した場合は保険期間の始まりから、契約後に提出した場合は提出した日以降の期間について適用されます。契約中の保険がある場合は、保険会社に確認してください。
長期優良住宅にすると、耐震等級はいくつ必要ですか?
認定基準では耐震性について、耐震等級(構造躯体の倒壊等防止)2以上であること、耐震等級1かつ大地震時の各階の変形が所定の範囲に収まること、品確法でいう免震建築物であること、のいずれかを満たすことが求められます(2026年9月時点・国土交通省の長期優良住宅に関する資料による)。壁量計算による場合の取扱いなど、運用が見直されることのある部分です。申請を予定している場合は、住宅会社と所管行政庁の最新の案内で確認してください。
耐震性能について、住宅会社に何を聞けばいいですか?
まず「標準の耐震等級」「希望する間取りで等級を上げた場合に変わる部分」「追加費用」「住宅性能評価書を取得する前提か」の4点を同じ条件で聞いてみてください。制震・免震などを採用している場合は、耐震等級とは別に、その仕組みと採用理由も確認すると比較しやすくなります。
耐震等級3にすると、費用はいくら上がりますか?
工事費の増額分については、確認した限り公的な費用統計がなく、公開されている金額も出典によって幅が大きいため、この記事では相場としての金額を示していません。増える金額は、いまのプランの間取り(大きな開口部・吹抜け・1階と2階の形のずれ)と、その会社が標準にしている等級からどれだけ動かすかで決まります。別枠で見込めるのは評価書を取る場合の申請手数料で、延べ面積200平方メートル未満の木造一戸建て・必須項目のみであれば、設計住宅性能評価と建設住宅性能評価をあわせて、公表されている税抜の料金表を税込に換算するとおおむね15万円台〜19万円程度です(2026年9月時点で公開されているもの。料金表は改定されることがあるため、実際に申請する際は各評価機関の最新の料金表でご確認ください)。工事費側は「このプランを等級3にすると、どこがどう変わっていくら増えますか」と、プランを特定して各社に聞くのが唯一の比べ方です。
同じ条件で複数社に聞いてみませんか
耐震は、標準にしている等級も、評価書を取るかどうかの考え方も、会社によって差が出やすいところです。同じ間取りと条件を伝えて複数社の答えを並べると、金額の差がどこから来ているのかがつかめてきます。
宮城・仙台新築リフォームフェアは、地元工務店・ハウスメーカー・リフォーム会社に加え、建材や住宅設備のメーカーまでが集まる住宅イベントです。前回(2026年1月開催)は104社167小間が出展し、2日間で8,110人が来場しました(いずれも主催者調べ)。1日で複数社に同じ質問ができます。ぜひこの機会を上手に活用してみてください。
- 次回開催:2027年1月16日(土)・17日(日)
- 会場:夢メッセみやぎ(仙台市宮城野区)
- 入場料:無料
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※本記事の情報は2026年9月時点のものです(最終確認: 2026年9月)。法制度・地震の発生確率の評価・保険の割引制度・認定基準は変更される場合があります。最新の情報は国土交通省の公表資料、仙台市・宮城県の公式サイト、各住宅会社・保険会社へ直接ご確認ください。本記事は特定の事業者および特定の耐震等級を推奨するものではありません。
※耐震等級の区分は平成13年国土交通省告示第1346号別表1、建築確認手続きと壁量基準の見直しは国土交通省の改正建築基準法に関する公表資料、住宅性能評価書の区分は品確法および住宅性能表示制度の公表資料、長期優良住宅の認定基準は国土交通省の技術基準資料、地震保険の割引率と確認資料は損害保険料率算出機構および日本損害保険協会の公表資料、宮城県沖地震の発生確率は仙台市が公表する政府の地震調査研究推進本部の評価(2026年1月14日公表)に基づいて整理しています。
執筆・構成:山澤 敦(宮城・仙台新築リフォームフェア 実行委員長)/主催する住宅イベントの詳細は開催概要をご覧ください。本文中の制度・数値は、上記の公的資料をもとに整理しています。